冬のスケッチ  快童丸(カイドウマル )

サザンカ・快童丸(かいどうまる) みどりいろの通信
サザンカ・快童丸(2022年11月25日撮影)

サザンカ(山茶花)   Camellia sasanqua “kaido-maru”

白地に紅覆輪ぼかし 一重咲き 大輪

東京~埼玉(江戸サザンカ)

 サザンカはツバキ(椿)の仲間で、江戸時代の書物にその記載があり、この「快童丸」や「七福神」、「三国紅」などの品種は「江戸サザンカ」とも呼ばれています。
 日本の四国、九州、屋久島、琉球などの南部から中国、台湾、タイ、ベトナム、カンボジアなどの中国よりに自生が見られます。その変種品種が我が国では圧倒的に多く、数十種を数えますが、ツバキほどの艶やかさはなく、いわゆる日本的な花木といえます。
 1960年頃から八重咲きで華やかな「獅子頭」や「ハルサザンカ」とも言われる開花期が遅い品種(12月~3月の寒中に咲く)が登場し、各地で増殖されて一気に広まりました。1860年代に海外にも渡りましたが、冬の寒さが厳しいヨーロッパではあまり普及しなかったようです。1940年代にアメリカやオーストラリア、ニュージーランドで新品種が作られ、日本に逆輸入されてきました。
日本の四国、九州、屋久島、琉球などの南部から中国、台湾、タイ、ベトナム、カンボジアなどの中国よりに自生が見られます。その変種品種が我が国では圧倒的に多く、数十種を数えますが、ツバキほどの艶やかさはなく、いわゆる日本的な花木といえます。
基本種の少ないところから育種についてもツバキほど盛んに行われず、現在品種を厳選して殖やされているものは十数種程度にすぎません。公園など公共緑化に使われる多くの苗は、実生によって殖やされたものがほとんどで、品種ものは挿し木繁殖が行われています。

つばきの花をかき

日曜にすること
運針針を洗濯し
うん針を整理し
試験をみる
それから つばきの花をかき
本をせいりし 手げいをする
  とノートのはじに書けるなり。

(宮澤賢治「冬のスケッチ」より)
「冬のスケッチ」は、制作年代は断定できないが、制作史的に短歌と口語詩の中間に位置するものとみられている。作品内容からは、素材が短歌と共通し、短歌を改作したかと見られるものも多い。第1章に「職員室」があって、農学校教師時代が含まれることは確かである。第2章の「郡役所」を考え合わせると、移転前の稗貫農学校時代とみられ、両章とも季節が冬であることから、大正10年(1921年)12月から大正12年(1923年)3月までの間の作と考えられている。
現存する用紙は49枚あり、「冬のスケッチ」と表記された紙ケース(賢治死後作成されたもの)に挟んで保存されてきた。

ツバキとサザンカの見分け方

同じツバキ属でよく似ており、園芸品種には両者を掛け合わせたものも存在するために見分けがつきにくい「ツバキ」と「サザンカ」。ここでは原種であるツバキ(ヤブツバキ)とサザンカを区別するポイントを紹介します。鑑賞する時のヒントとしてどうぞ!

      ツバキ(ヤブツバキ)          サザンカ
●開花時期:10~5月(春型)●開花時期:10~12月(秋型)
●花の香り:ほとんど香りがない●香りがある
●花:筒状●花:平開状
花の散り方は、花首からポトリと一度に落ちます。花の散り方は、花弁が一枚一枚分かれてパラパラと散ります
●雄しべ:長くて筒状に固まっている●雄しべ:短く広がっている
●雌しべ:子房は無毛●雌しべ:子房は有毛
●実:大きくて無毛●実:小さくて有毛
●葉:大型・光沢が強めで無毛●葉:小型・光沢は弱めで主脈まで有毛
●若い枝:太くて無毛●若い枝:細くて有毛
●本州~沖縄に分布●四国南西部、九州~沖縄に分布
タイトルとURLをコピーしました