竹炭を作りました

あっと・らんだむ実験室

 我が家の裏庭に篠竹が生い茂り、そうこうするうちに強い勢いで背丈も高く伸びて、椿や金木犀、欅などの樹木を覆い隠すようになってしまいました。

篠竹に覆われる庭

樹木が篠竹により日が当たらなくなり、枯れる枝も出てきたことから、気合いを入れて篠竹を伐採する決意をしたのが昨年末でした。何万本切ったでしょうか。あっという間に切った竹の山が出来上がり、今度は通路を塞ぐようになってしまいました。細い篠竹とはいえ、太い物は直径3~4cm、長さも10mを越える物もあります。先の方は枝葉がついていてこれがまた容積を取ります。

切った篠竹の処理をどうするか、思案を重ねました。昔と違って焚き火や野焼きは憚られるような時代ですから普通には燃やせません。短めに切って積み上げるか(スペースを取るし、虫のすみかになりそう?)、木材用のシュレッターで細かいチップ状に粉砕して土の上にまこうか(機械が高いし、音もうるさいらしいので近所迷惑になるかも?)などと考えていると、竹炭にすれば野焼き規制対象外と国が認めているので燃やすことが可能との情報があり、「無煙炭化器」なるものを購入することにしました。

「無煙炭化器」で竹炭をつくる

竹炭を作る前に、まずは伐採した篠竹を無煙炭化器の中で燃やせる大きさにカットする必要があります。また、節と節の間に空気があると爆発して、爆竹を鳴らしたかのような大音量がご近所に響き渡ることになるので、節ひとつになるように切るか、半分に割るかが必要です。また、できるだけ乾燥させた方が煙が出ないとのこと。いろいろ気を遣わなくてはいけないのです。事前準備などをしているうちに立春を過ぎてしまいました。

風もなく快晴の2月某日。いよいよ、第1回竹炭作りの日を迎えました。

まず、無煙炭化器を周りに燃えやすい物がないような土の上に置き、底から空気が入り込まないようにセットします。それから火を使うので、乾燥しているこの時期、万が一の場合を考えて、すぐに消火できるように水道から散水ホースを近くまで引っ張ってきて近くに置いておくことにしました。(いずれにせよ炭焼きの最後には水をかけて火を消す必要があります)

いよいよ点火です。

勢いよく火がつき炎が上がります。

よほど青い竹でも無い限り、煙はほとんど出ませんでした。

あっという間に、無煙炭化器の中がいっぱいになってしまいました。

炎が高く昇るように燃え、そんなに動いてはいないのに、夏の炎天下での作業のように汗をかいていました。合間に水分補給をしないと熱中症になるなと思いました。

しばらくそのまま放置して炭になりきるのを待ちます。状態をみて水をかけて消火しました。
水で消火した後に、金属製の篩で細かな灰を落としてから金属製のバケツに入れました。

あとは、燃えかすなどで延焼などということがないように、念には念を入れて、無煙炭化器を置いた周辺にも水を充分にかけて火種が残っていないことを確認。

後片付けをして、第1回竹炭作りは無事終了しました。

竹炭作りの要領がわかったので、次回からはスムーズにできるかと思います。
まだまだ篠竹の山がたくさん残っているのです。

炭からまるで青火が燃える ~宮澤賢治の童話から

 雪婆んごは、遠くへ出かけて居りました。
 猫のやうな耳をもち、ぼやぼやした灰いろの髪をした雪婆んごは、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらの雲を越えて、遠くへでかけてゐたのです。
 ひとりの子供が、赤い毛布(ケット)にくるまって、しきりにカリメラのことを考へながら、大きな象の頭のかたちをした、雪丘の裾を、せかせかうちの方へ急いで居りました。
(そら、新聞紙を尖ったかたちに巻いて、ふうふうと吹くと、炭からまるで青火が燃える。ぼくはカリメラ鍋に赤砂糖を一つまみ入れて、それからザラメを一つまみ入れる。水をたして、あとはくつくつくつと煮るんだ。)ほんたうにもう一生けん命、こどもはカリメラのことを考へながらうちの方へ急いでゐました。
 お日さまは、空のずうつと遠くのすきとほつたつめたいとこで、まばゆい白い火を、どしどしお焚きなさいます。
 その光はまつすぐに四方に発射し、下の方に落ちて来ては、ひつそりした台地の雪を、いちめんまばゆい雪花石膏の板にしました。

(童話・宮澤賢治「水仙月の四日」より)

 今回は「竹炭」ということで、宮澤賢治の作品から「炭」が登場する童話の一部を紹介しました。

この「水仙月の四日」という童話は賢治のイーハトブ童話『注文の多い料理店』(初版本)の中の一篇になります。

「赤い毛布を被ぎ「カリメラ」の銅鍋や青い焔を考へながら雪の高原を歩いてゐたこどもと「雪婆んご」や雪狼、雪童子とのものがたり。」と、この初版本の広告チラシには書かれています。

 見渡す限りの白銀の世界に、キラキラした光たちが次々と色鮮やかに見えてくるような美しいお話です。

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